【「神経を抜く」と言われて絶望しているあなたへ】歯の寿命を救う魔法の薬「MTAセメント」のお話

こんにちは!いわまる歯科クリニックの院長です。

突然ですが、皆さんは歯医者さんの診察台の上で、こんな恐ろしい宣告を受けたことはありませんか?

「あー、虫歯が深いですね。これは…残念ですが神経を抜かないとダメですね」

ガーン!!!ですよね。目の前が真っ暗になり、頭の中で「神経を抜く…痛い…終わった…」という言葉がグルグルと回るあの瞬間。他院でそう言われてショックを受け、夜も眠れずにスマホで検索魔になってしまった方が、今このブログにたどり着いてくださっているのかもしれません。

まずは、深呼吸してください。スゥーーー、ハァーーー。 大丈夫です。まだ諦めるのは早いです!

今日は、「なんとかして自分の歯の神経を残したい!」と強く願うあなたに向けて、当院で行っている【神経を温存する最新の治療法(MTAセメント)】について、できるだけわかりやすく、そして少しでも心が軽くなるようにお話ししていきます。

この記事を読み終わる頃には、きっと「よし、まだ希望はあるぞ!」と前を向けるようになっているはずですよ。


歯を「お城」に例えてみよう!〜虫歯のレベル分け〜

神経のお話をする前に、まずは私たちの「歯の構造」と「虫歯の進行」について、少しだけお勉強しましょう。難しい専門用語は使いません。歯を【ひとつのお城】だと思って想像してみてください。

お城の一番外側には、敵の攻撃から守るためのカチカチに硬い城壁があります。これを「エナメル質」と呼びます。 その城壁の内側には、少し柔らかい居住区画があります。これが「象牙質(ぞうげしつ)」です。 そして、お城の中心部、一番奥深くの安全な場所でドンと構えているのが、王様である「歯髄(しずい)」、つまり【神経】です。

虫歯菌という敵が攻めてきた時、お城はどうなるでしょうか?

レベル1(C1):敵が外側の城壁(エナメル質)を少し削った状態。まだ痛くありません。 レベル2(C2):敵が城壁を突破し、居住区(象牙質)まで侵入!冷たいものを食べると「しみる!」と感じます。 レベル3(C3):敵がとうとう王様の間(神経)まで到達!ここで「ズキズキする激痛」が襲ってきます。

一般的な保険診療の歯医者さんで「神経を抜きましょう」と言われるのは、この【レベル3(C3)】に達してしまった時です。王様が敵に囲まれてしまったので、お城全体が腐ってしまう前に、泣く泣く王様ごと外に出してしまおう、という決断なのです。

神経を抜く悲劇。それはチームの「大黒柱」を失うこと

「痛いのがなくなるなら、さっさと神経なんて抜いてよ!」と思う方もいるかもしれません。でも、ちょっと待ってください。

私、実は学生時代からずっとサッカーをやっているのですが、歯の神経を抜くというのは、サッカーチームから「絶対に怪我をしない頑丈なキャプテン」と「危険をいち早く察知する名ゴールキーパー」を同時にクビにしてしまうようなものなんです。

歯の神経(王様)は、ただそこに座っているだけではありません。血液を通じて歯全体に栄養や水分を送り届ける「パイプライン」の役割と、虫歯菌が来た時に「痛い!危険だぞ!」と教えてくれる「防犯センサー」の役割を担っています。

神経を抜いてしまうと、栄養がいかなくなった歯は、みずみずしい生木から「枯れ木」のようにパサパサになり、ちょっと硬いものを噛んだだけでパキッと割れやすくなってしまいます。しかも防犯センサーがないので、次に虫歯になっても全く気付かず、気付いた時にはお城が完全に崩壊して「抜歯(歯を抜く)」という最悪のレッドカードが出されてしまうのです。

だからこそ、私たちは「なんとしてでも、ギリギリまで神経(王様)を守り抜きたい」と強く思っているのです。

救世主登場!魔法の薬「MTAセメント」

「でも、もう敵が王様の部屋まで入ってきちゃってるんでしょ?どうするの?」

そこで登場するのが、本日の主役【MTAセメント(直接覆髄法:ちょくせつふくずいほう)】です! なんだか強そうな名前ですよね。これは、虫歯菌に侵入されて穴が空いてしまった王様の部屋を塞ぐ、言わば「超・強力な魔法の修復モルタル」です。

虫歯を削っていき、神経がギリギリ見えてしまった(あるいは少し出てしまった)ところに、このMTAセメントを優しく詰めてフタをします。 このお薬のすごいところは、強い殺菌力で残った虫歯菌をやっつけてくれるだけでなく、なんと神経を守るために【新しい城壁(第二象牙質)を自分から作り出すように促してくれる】という、信じられないような自己再生パワーを持っている点です。

このMTAセメントのおかげで、昔なら「あー、これは神経を取るしかないね」と諦めていた歯でも、神経を残したまま治療できる可能性がグッと高まりました。まさに、歯科界の救世主なんです。


当院でMTA治療を受ける際の流れ

「その魔法の薬、やってみたい!」と思ってくださった方へ。当院にいらした際の、大まかな治療の流れをご紹介します。

ステップ1:まずはじっくり作戦会議(カウンセリングと検査) いきなり削りません!レントゲンを撮り、「本当に神経を残せる可能性があるか」をしっかり見極めます。すでに神経が完全に死んでしまっている場合は、残念ながらこの魔法は使えません。お口の状態をモニターで一緒に見ながら、納得いくまでご説明します。

ステップ2:超・精密な虫歯退治 麻酔をしっかり効かせてから、虫歯だけを丁寧に、慎重に取り除いていきます。健康な部分は1ミリだって無駄に削りません。

ステップ3:MTAセメントで優しくフタをする 神経が見えたところに、MTAセメントを慎重に置きます。この時は、無菌状態を保つために細心の注意を払います。

ステップ4:お祈り&お休みタイム(経過観察) フタをした後、仮の詰め物をして数週間〜数ヶ月様子を見ます。MTAセメントが新しい城壁を作ってくれるのを、あなたと一緒に祈りながら待ちます。「痛みが全く出ない!普通に噛める!」となれば、作戦は大成功です。

ステップ5:最終的な被せ物・詰め物をして完了! 神経が無事に生き残ったことが確認できたら、最後に美しくて丈夫な被せ物(または詰め物)をして、治療はゴールとなります。


気になる「費用」について、正直にお話しします

ここまで良いことばかり書いてきましたが、最後にとても大切な「費用」のリアルなお話をさせてください。 MTAセメントを用いたこの治療は、非常に特殊な材料と時間、そして精密な技術を必要とするため、健康保険が適用されない【自由診療(自費)】となります。

当院での大まかな費用は以下の通りです。

・MTAセメントを用いた虫歯治療(神経の保存):44,000円(税込) ・最終的な仕上げ(ジルコニアインレー/部分的な詰め物の場合):88,000円(税込) ・最終的な仕上げ(ジルコニアクラウン/すっぽり被せるタイプの場合):165,000円(税込)

※状態によってどちらの仕上げになるか変わります。

「うわっ、やっぱり高いな…」とため息をつかれたかもしれません。そのお気持ち、よくわかります。

でも、少しだけ想像してみてください。 もしここで神経を抜いて保険の銀歯を入れたとして、数年後に歯が割れて抜歯になり、何十万円もするインプラント治療をすることになったら…?あるいは、何度も治療を繰り返して、歯医者に通う時間とストレスを一生払い続けることになったら…?

この費用は、決して単なる「物の値段」ではありません。あなたの「大切な歯の寿命を10年、20年と延ばし、美味しくご飯を食べ続けるための最高の自己投資」だと私は信じています。もちろん、無理に勧めることは絶対にありません。選択肢の一つとして、ゆっくりご自宅で検討していただいて構いません。

諦めないで、まずは相談にいらしてください

いかがでしたでしょうか。 「神経を抜くしかない」と言われて絶望の淵にいたあなたの心に、少しでも希望の光が差したなら、こんなに嬉しいことはありません。

お城が崩れ落ちてしまう前に。 大切なチームのキャプテンをクビにしてしまう前に。

どうか一人で悩まずに、一度私たちにお口の中を見せてください。「先生、前の歯医者でこんなこと言われちゃって…」と、愚痴をこぼしに来てくれるだけでも大歓迎です。

もし、この記事を読んで「この歯医者さん、ちょっと面白そうだな」と思っていただけたなら、ぜひ当院の他のブログ記事(「歯周病ってホントに怖いの?」や「親知らずのヒミツ」など)も覗いてみてくださいね。

あなたからのご相談を、スタッフ一同、そして私、岩丸が最高の笑顔でお待ちしております!